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ポートフォリオとCAPM

wikipediaのCAPMの記事の内容がわかりにくいなと思ったので自分なりにまとめて直してみました。

経済学的な知識はほとんどwikipediaとグーグル検索なので、おかしなことを言っていたらごめんなさい。

ポートフォリオ

まずは、基本的な用語を準備します。
市場を考えるときに登場する基本的要素は、金融資産と投資家です。

金融資産iに対して、$ R_i $をその収益率を表す確率変数とします。
また、投資家kは$ W_k $の初期資産を持ち、それを各金融資産iに$ W_k \phi_i^k $だけ投資します。この各金融資産への投資する割合$\phi^k = {\phi_i^k}_{i=1,\cdots ,I} $をこの投資家のポートフォリオ(資産構成)と言います。
投資家kのポートフォリオの収益率を表す確率変数$R^k$は次のように表されます。
$$ R^k = \sum_{i=1}^{I}{\phi_i^k R_i} $$
また、この確率変数の平均(期待値)はその投資により期待されるリターンを、分散はリスクを表します。
$$ E[R^k] = \sum_{i=1}^{I}{\phi_i^k E[R_i]} $$
$$ Var(R^k) = E[(R^k – E[R^k])^2] = {\sum_{i_1,i_2}^{}{\phi_{i_1}^k\phi_{i_2}^kCov(R_{i_1}R_{i_2})}} $$

平均分散分析(mean-variance analysis)

投資家は、どういうポートフォリオを組んだら得するのかを考えます。
ポートフォリオの良し悪しを比較する一つの素朴な考え方に平均分散分析があります。

平均分散分析とは、次の2点のように、ポートフォリオを平均(期待収益率)と分散をもとに評価し比較する考え方です。

  • ポートフォリオの分散が同じであれば、期待収益率の大きい方が良い
  • ポートフォリオの期待収益率が同じであれば、分散が小さい方が良い

ざっくり言えば、平均して多く儲かるポートフォリオがよく、また同じ利益が期待できるのであれば確実なポートフォリオが良いということです。
この考え方だけでは、すべてのポートフォリオを比較評価できるわけではないですが、これだけでも色々議論できることはあります。

リスクリターン平面

さて、ポートフォリオを平均と分散のみから評価するので、それを可視化した方が議論しやすいですよね。
そこで使うのがリスクリターン平面です。
縦軸が平均(リターン)、横軸が標準偏差(リスク)を表すようにポートフォリオをプロットします。

(図:リスクリターン平面)

効率的フロンティア

投資家がよりお得な投資をすることを考えましょう。
投資家はできるだけ分散が小さいほうを好むとしているので、実際に考える必要があるポートフォリオは、図の領域の一番左端の部分だけになります。

(図:最小分散フロンティア、効率的フロンティア)

ここを最小分散フロンティア(minimum variance frontier)と呼びます。
文字通り、同じリターンを上げるポートフォリオの中で一番分散が小さくなるようなポートフォリオを集めてきた部分です。

また、最小分散フロンティアの中でも、同じ分散であれば上側にある方が大きなリターンが得られるので、投資家が効率的な投資をしようと思った時には領域の左上の境界部分のポートフォリオのみを考えればよいとわかります。
この部分を効率的フロンティア(efficient frontier)と呼びます。

ちなみに、この最小分散フロンティアは2次曲線、もっと言えば双曲線になるみたいですが、導出には逆行列の計算などが必要で大変そうなので飛ばします・・・。(wikipedia参照)

無リスク資産

さて、上記のポートフォリオの議論では、実は暗黙の裡に金融資産の分散は0より大きいことを仮定していました。
確実に儲かる投資対象はないということです。

ただし、CAPMの理論の中では分散が0である金融資産が存在するものとして議論します。つまり、確実に一定の利回りの保証されている資産です。
この、分散0の金融資産を無リスク資産(risk-free asset)または安全資産(safe asset)と呼びます。

現実に無リスク資産はあり得ませんが、先進国の短期国債や、銀行の普通預金などが疑似的に無リスク資産とみなすことになるのかなと思います。

資本分配線(capital allocation line)

無リスク資産が存在するとして、投資家が自分の資金$W$を無リスク資産に$(1-\alpha)W$、リスク資産のみのポートフォリオに$\alpha W$だけ分配して投資する状況を考えます。

無リスク資産の収益率を$R_f$、リスク資産のポートフォリオの収益率を$R_p$とすると、資本を分配したポートフォリオの収益率$R_a$は次のようになります。(ただし$r_f = E[R_f]$とする)

$$ R_a = (1-\alpha)R_f + \alpha R_p $$
$$ E[R_a] = (1-\alpha )r_f+\alpha E[R_p] $$
$$ \sigma _a = \sqrt{Var(R_a)} = {\alpha}\sqrt{Var(R_p)} = \alpha \sigma _p $$

上記の式から$\alpha$を消去すると
$$ \frac{E[R_a]-r_f}{\sigma _a} = \frac{E[R_p]-r_f}{\sigma _p} $$
$$ E[R_a] = r_f + \frac{E[R_p]-r_f}{\sigma _p}{\sigma _a} $$
が得られます。

つまり、$\alpha$を動かすと、この資本を分配したポートフォリオはリスクリターン平面上で直線になります。これを資本分配線と呼びます。

(図:資本分配線)

シャープレシオ

上記の議論において、資本分配線の傾きがより大きければ大きいほど、適当に無リスク資産と分配してあげることで、同じリスクでも、より大きな期待収益率が得られます。

つまり$\frac{E[R_p]-r_f}{\sigma _p}$が大きいほど、そのポートフォリオがよりお得であるとわかります。

この資本分配線の傾き$S_p$をシャープレシオと言います。

$$ S_p = \frac{E[R_p]-r_f}{\sqrt{Var(R_p)}} $$

また、リスク資産のみからなるポートフォリオの内、資本分配線の傾きであるシャープレシオが最大となるようなポートフォリオを接点ポートフォリオ(tangency portfolio)と言います。

接点ポートフォリオは図形的に見て、切片$r_f$でリスク資産のみの効率的フロンティアと接する直線との接点に位置します。

また、無リスク資産も含めてポートフォリオを組む時には、効率的フロンティアは接点ポートフォリオを通る資本分配線に一致します。

トービンの分離定理(separation theorem)

平均分散分析を行う投資家にとって、リスクリターン平面の左上に位置するポートフォリオの方が得です。

すべてのポートフォリオは接点ポートフォリオを通る資本分配線の右下に位置するので、投資家にとって効率的な投資ポートフォリオは、必ず接点ポートフォリオを通る資本分配線上に存在します。

つまり、投資家が無リスク資産も含めて最適な投資を行うには、

  1. 接点ポートフォリオを特定する
  2. 自分のリスク態度に適した、無リスク資産と接点ポートフォリオへの分配率を決定する

という2段階の問題に分離されます。

これを分離定理と呼びます。

CAPM

CAPM(Capital Asset Pricing Model:資本資産価格モデル)とは、金融資産の期待収益率や市場ポートフォリオの期待収益率の構造を表すモデルです。

CAPMが成り立つために必要な仮定4つは次の通りです。(wikipedia参照)

  1. 全ての投資家は平均分散分析によりポートフォリオを選択する。
  2. 全ての投資家は全ての金融資産の収益率の平均と分散について同一の予想を持つ。
  3. 金融市場が完全市場である。
  4. 無リスク資産が存在する。

CAPMでの市場ポートフォリオ

CAPMが成立すれば、市場ポートフォリオ$\phi^m$と接点ポートフォリオ$\phi^T$は一致します。

以下証明。

全ての投資家kは平均分散分析を行うので、全てのリスク資産iについて、分離定理より。
$$ \phi_i^k = \alpha^{k}\phi_i^T $$

$V_i$をリスク資産iの時価総額、$V$をリスク資産全体の時価総額、$W^k$を投資家kの初期資産とすると、需給一致より。
$$ V_i = \sum_{k}{W^{k} \phi_{i}^{k}} = \sum_{k}{W^{k}\alpha^{k}\phi_{i}^{T}} = \phi_{i}^{T}\sum_{k}{W^{k}\alpha^{k}} = \phi_{i}^{T}V $$
したがって
$$ \phi_{i}^{T} = \frac{V_i}{V} = \phi_i^m $$

証明以上。

CAPMでの資産の期待収益率

CAPMでは金融資産(あるいはポートフォリオ)の期待収益率と市場ポートフォリオの期待収益率について次が成り立ちます。

$$ E[R_i] – r_f = \beta_{im}(E[R_m]-r_f) $$
$$ ただし \beta_{im} = \frac{Cov(R_i,R_m)}{Var(R_m)} $$

以下証明。

投資家kは平均分散分析を行うため、資本分配線の傾きが最大、つまりシャープレシオが最大となるポートフォリオを組みます。

つまり、

ポートフォリオを以下のように記述したとき、
$$ R^k = \sum_{i=1}^I{\phi_i^kR_i} + \phi_f^kR_f $$
$$ \phi_f^k = 1-\sum_{i=1}^I\phi_i^k $$
全ての金融資産iについて、シャープレシオを$\phi_i^k$の関数としてみたときに、その微分は0となります。
$$ S^k = \frac{E[R^k]-r_f}{\sigma ^k} $$

$$ \frac{dS^k}{d\phi_i^k} = 0 $$
(シャープレシオがポートフォリオに対して十分に滑らかであることを仮定しています)

微分はそれぞれ次のように計算できます。
$$ \frac{dE[R^k]}{d\phi_i^k} = E[R_i]-r_f $$
$$ \frac{dVar(R^k)}{d\phi_i^k} = 2\sum_{j=1}^I{\phi_j^kCov(R_j,R_i)} = 2Cov(R^k,R_i) $$
$$ \frac{dS^k}{d\phi_i^k} = \frac{E[R_i]-r_f}{\sqrt{Var(R^k)}} + (E[R^k]-r_f)\cdot (-\frac{1}{2}(Var(R^k))^{-\frac{3}{2}})\cdot \frac{dVar(R^k)}{d\phi_i^k}=0 $$
よって
$$ \frac{E[R_i]-r_f}{Cov(R^k,R_i)} = \frac{E[R^k]-r_f}{Var(R^k)}=:\lambda^k $$
$$ E[R_i]-r_f = \frac{Cov(R^k,R_i)}{Var(R^k)}(E[R^k]-r_f)=\beta_{ik}(E[R^k]-r_f) $$

シャープレシオが最大となるポートフォリオ、つまり接点ポートフォリオを通る資本分配線上のポートフォリオでは、上記の式が成り立ちます。
またCAPMにおいて市場ポートフォリオは接点ポートフォリオと一致するため最初の式がわかります。

また、CovarianceとExpectationの線形性から上記の式は特定の金融資産の収益率$R_i$だけではなく、ポートフォリオの収益率$R^p$に対しても同様の式が成り立ちます。

$$ E[R^p]-r_f = \frac{Cov(R^m,R^p)}{Var(R^m)}(E[R^m]-r_f)=\beta_{pm}(E[R^m]-r_f) $$

証明以上。

システマティック・リスク

ちょっとイメージがつかめていないのでそのうち・・・。

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